スタチンについて

今月号(2011 Vol7 No.3)の抗加齢学会雑誌の誌上対決は「スタチンを飲む?飲まない?」である。

「コレステロールがやや高なので、リピトールのんでる」っていう医療人はたくさんいる。

そうしたスタチン愛好家が指摘するPleiotropic effect(多面的作用)が誌上にも記載されていて、

  1. 血管内皮機能の改善作用
  2. 動脈硬化巣の炎症抑制作用
  3. プラーク安定作用
  4. 血栓形成抑制作用
  5. 線溶系促進作用
  6. 脂質に対する酸化抑制(抗酸化)作用
  7. 血圧低下作用

6の作用なんか抗加齢的にもよさげである。

だけど、スタチンは

  1. 横紋筋融解の副作用がある。→筋肉落とす(かもしれない)のはよくない
  2. 肝臓でのコレステロール生成に関係する酵素(HMG-CoA還元酵素)を阻害する。→肝障害をおこす(危険性がありそうな)のははよくない

ので、健康人が抗加齢的に使うのは難しいと思う。

コレステロールを下げる薬剤というのなら

  1. エパデール:エイコサペンタエン酸製剤。ドコサヘキサエン酸と並んで代表的なオメガ3系不飽和脂肪酸。
  2. コレバイン:コレステロールの腸肝循環の経路で腸からの再吸収を抑制する。
  3. ゼニカル:腸管での脂質吸収を抑制する。医療業界的にはあまり認められていない様子。
  4. ゼチーア:小腸でのコレステロール吸収を抑制する。

以上のうち、1~3が特に安全。

4は小腸の上皮細胞内の酵素に作用するらしいし、食後血糖を上げる感じがあるので今一。

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2011年6月28日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:コレステロール

DPP4-阻害薬について

2011年6月8日、垂水区医師会館2階で京都府立医大講師 福井道明先生による「DPP4阻害薬の位置づけ」を聴講した。

いまのところ、インクレチン関連薬は抗加齢学会的には注目されていないが、「正常人に対して糖尿病の治療を行う」≒抗加齢介入という観点からすると、レスベラトロールに匹敵する

インクレチンとは食事摂取時に小腸から分泌されるホルモンであり、インスリン分泌を血糖依存的に促し、かつ、グルカゴンの抑制を行うものである。しかもβ細胞の保護作用が動物実験では確認されているということだ。

「血中インスリン血中濃度を低く抑えつつ、かつ、食後血糖上昇をおさえうる、しかもすい臓を疲弊させず保護する」のであれば、抗加齢的にいうことなしではないか?

現在、市販されているDPP4阻害薬を比較してみる。

DPP4阻害薬の比較
薬品名 ジャヌビア エクア ネシーナ
肝臓、腎臓への影響 排泄 代謝 排泄
内服回数 1日1回 1日1回~1日2回 1日1回
DPP-4阻害の選択性 高い 低い 高い

 

 

 

 

じゃる日記」 から引用

万有や小野は就寝中にGLP-1活性を高める必要はないだろうということで1×で臨床試験を行いジャヌビアの用法が1×となっている。
一方ノバルティスは24時間GLP-1活性を高めた方がよいだろうと考えて2×で承認をとっている。
ただ一つ分かるのは、ジャヌビアを1×投与する場合、1×朝で投与すべきであって1×夕では効果が落ちる可能性が考えられること。
エクアの禁忌疾患は重度の肝障害。ジャヌビアやネシーナは腎障害禁忌。

じゃる日記」 から引用

ジャヌビアではDPP-4に対してDPP-8選択性が4000倍以上、DPP-9選択性が8000倍以上高いのだが、エクアではそれぞれ13倍、1.2倍程度だという。ネシーナはどちらも4000倍以上とジャヌビアと同程度の選択性がありそう。
この数字自体もどこまで信じていいのか分からないが、DPP-8やDPP-9を阻害することが皮膚障害等のSEを引き起こすことにつながるというサルでの試験結果があるらしい。
半減期はジャヌビアのt1/2≒12hr、エクアのt1/2≒3hr

旭川の薬剤師道場(ブログ)」から引用

ジャヌビアはエクアよりもDPP-4に対する選択性が高いのですが、ネシーナはジャヌビアよりもさらに選択性が高いようです。すなわち、DPP-8とDPP-9にはほとんど影響を及ぼさず、理論的にはそれに関連する弊害も起きにくいいうことになります。まだ、DPP-8とDPP-9に関しては未知の部分も多いですが、この部分も安全性に寄与するかもしれません。

やまんば 糖尿病を完治させる。」 から引用すると、

エクアでは添付文書に、
2.重要な基本的注意
(1)肝機能障害(肝炎を含む)があらわれることがあるので、本剤投与開始前、投与開始後1年間は少なくとも3ヵ月毎に、その後も定期的に肝機能検査を行うこと。
といった記述があるが、ジャヌビアでは肝機能の検査に関する記述は無いとのことです。

以上より考察すると、抗加齢的に使うなら
肝臓障害が起こりにくいほうがいい糖尿病じゃないので腎臓障害はおきていないが、サプリメント系はたくさんのんでるから肝機能を愛護したい。
DPP4選択性が高いほうがいい。成長ホルモンみたいに後になって「投与は間違いでした」となったときの被害が少ない。
半減期は長いほうがよいだろう。一生続けるなら薬剤アドヒランスは重要だ。

したがって、抗加齢目的ではジャヌビアが第一選択次点がネシーナエクアは不可という気がする。

※あくまで抗加齢目的です。エクアのMRはレセプターと共有結合なのでHbA1Cの降下作用は一番強いと力説しておりました。また、糖尿病治療の時には適応が取れている併用薬剤云々の問題もあるとのこと。

 

2012/1/30追記

DPP4阻害薬とビクトーザは、長期にわたって人柱実験を行ったが、現在は中断している。

理由は

  1. 食事直後の血糖上昇は抑えられるが、反跳的に後からじんわりあがりやすい。「胃排泄能抑制」と関係あるのだろう。
  2. 1の食直後抑制効果もだんだん落ちてくる。
  3. 自分自身でDPP4阻害薬、ビクトーザを使用しないコントロール期を作ると、コントロール期のほうが血糖値の推移が意外にも良好。

よって、正常人の抗加齢目的には使えない。

2012/11/15修正

ヤモさんからの指摘により「腎代謝」を「腎排泄」に変更しました。

また、ネシーナの内服回数は分2から分1に変更しました。

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