カロリスと糖尿病治療の違い

TheCRWayでは

動物実験で寿命の予測するとされた3つの因子が、ボルチモア長寿研究所の被験者にも当てはまり、その因子とは、低体温、低インシュリン、高DHEASであった。

カロリスの要諦は「less is more」である。ホルモンのレベルが低下すると、レセプター数は増加し、ホルモンを有効活用できるようになるのだ。

カロリスを実践すれば、血糖・インシュリン・成長ホルモン・IGF-1値が下がり、SIRT1を活性化することができるのだ。

ということで、「インシュリン(IGFシグナル)値が低ければ、低いほど良い」というスタンス。

糖尿病治療では、

CPI=空腹時Cーペプタイド(ng/ml)÷空腹時血糖(mg/dl)×100

インシュリン基礎分泌能正常 :1.2 以上

インシュリン基礎分泌能低下: 0.8 以下

であるから、「インシュリン値が低ければ、低いほど良い」とはいえないスタンス。

 

少し考えればわかるが、基礎分泌が低下するのは糖尿病でも後期なので、糖尿病患者ではないカロリス実践者はやはり「インシュリン値が低ければ、低いほど良い」はず→だけど、基礎分泌能が不良とでるのは気味が悪い。→だけど、しかし、、と無限ループ。

そこで、各種の糖尿病指標の計算式を、糖尿病患者ではないカロリス実践者の観点でチェックした。

  • CPI(基礎分泌能):空腹時C-ペプタイド/空腹時血糖(mg/dl)×100 正常値:1.2以上
  • SUIT(基礎分泌能):空腹時C-ペプタイド×1500÷{空腹時血糖-63} 正常値:50%以上?
  • Insurinogenic Index(追加分泌第一相能):(負荷後30分IRI値-負荷後IRI値)/ (負荷後30分血糖値-負荷前血糖値) 正常値:0.4以上
  • HOMA-β(追加分泌第二相能):IRI(早朝空腹時血中インスリン濃度)×360 / (FBS-63) 正常値:40~100%
  • HOMA-R(抵抗性):IRI(早朝空腹時血中インスリン濃度×FBS)/405 正常値:1.6以下、できれば1.0未満
  • QUICKI(抵抗性): 1 / (log(早朝空腹時血中インスリン濃度) + log(早朝空腹時血糖)) 正常値:0.348~0.430 高い方がbetter?

繰り返すが、Ⅱ型糖尿病患者の典型パターンは「炭水化物の摂取過多→ベータ細胞が疲れはじめる→第一相のインシュリン追加分泌能低下→インシュリン抵抗性増加→(代償的に高インシュリン血症→機能性低血糖症状)→ますますベータ細胞が疲弊化→インシュリン基礎分泌能低下」である。CRWayで目指すのは「インシュリン抵抗性低下→インシュリン分泌低下(分泌能そのものは低下しない)」なので、真逆である。

やはりカロリスでは、「インシュリン値は低いほうがいい。しかし、インシュリン抵抗性が非常に低いという結果が出るほどに血糖値も低いのが最もよい

<結論>

  • インシュリン値も、血糖値も、インシュリン抵抗性もless is more!

タグ

ホモシステインの高値について

「ホモシステインの血中濃度が高い」とアルツハイマー病のリスクが高まる(逆相関という説もある)

正常値 3.7~13.5nmol/ml のところ、僕は13~17で、対策としてビタミンB6をとってる。

Paul McGlothinさんも気にしてたようで、以下に示す。

Limiting Methionine Raises Homocysteine (which is probably good!)

・カロリス→ベジタリアン生活してると必須アミノ酸の血中メチオニン値↓分解産物が変化1)→血中ホモシステイン値↑

・メチオニン値↓だと癌予防に有用2)である。

・よって血中ホモシステイン値↑はむしろいいんだ!

という論法。

どぅなんでしょう!か!!

<結論>

・カロリス→高ホモシステインは、気になるけど気にするな!

 

(1)Elshorbagy Amany K. Body composition in gene knockouts of sulfur amino acid-metabolizing enzymes. Mamm  Genome. 2014 Oct;25(9-10):455-463.

(2)Cavuoto Paul, Fenech Michael F. A review of methionine dependency and the role of methionine restriction in cancer growth control and life-span extension. Cancer Treat  Rev. 2012 Oct;38(6):726-736

タグ

2015年10月6日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:カロリス

カロリスで何を食べるのか

当院の患者さんから「カロリスで何を食べればいいのか?」と尋ねられることがある。

答えは、「僕も教えて欲しい」

この投稿の続きを読む »

タグ

骨折した~!(2)

カロリスしてると怪我の治りが悪いように感じる。

The CRWayによると

炎症に良いイメージはないが、すべての炎症反応が悪いわけではない。組織の修復にとっては、重要である。

カロリス生活では、体重が減って脂肪細胞からの起炎物質が減り、炎症は起こりにくくなる。

僕自身の印象は「切り傷は生傷な状態が続く。腫れは、あまりおこらない。」

カロリスではIGF-1(ng/ml)を102-178と低めに抑えることになってるが、この内因性IGF-1こそが創傷治癒を促進する

 

つまり。。

カロリスしてると、現代的な癌、動脈硬化、心血管病変には強くなるが、古典的な怪我とか創傷治癒は弱くなる。

じゃ、カロリス実践中に、ケガした場合はどうしたらいいのか?

著者のポールさんがコミュに書いてる内容は、

普段はIGF-1やmTOR系を抑制しておいて、レセプターの感受性を上げておく。そうすれば、いざ修復が必要な時には効率よく創傷治癒が行われるはずである。私の場合にはそれでうまくいってる。

「カロリス実践中に、ケガ」について、論文考察とかはなくて個人的経験談にとどまっている。

僕は、「一時的にIGF-1をふやすべく、吸収率の高いタンパク質、チーズやらWhayを取ったほうがいい」と考えて積極的にとることにした。

だけど、調子に乗って毎日食べてると「微妙に体脂肪率が増加」してくるんだな。。

 

<結論>

  1. 怪我したらカロリスはいったん休止。
  2. 治り具合とデータみつつカロリス再開 。

タグ

2014年7月3日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:カロリス

年末年始のカロリス

年末年始は、年越しそばやら、おせち料理やら、お雑煮!甘酒!お屠蘇!と反カロリスなイベントが目白押しだ。

普段のカロリス効果は吹き飛び、体重増&血糖も上がりぎみになる。下手したら肝機能が悪化する。

そこで、僕なりの対策。

1.うかれても最後の一線は超えないように。特に、カーボ祭りにならないようにする。主食はケトン食気味にし、別腹を減らしておく。

2.エクササイズのペースは保つ。これは肉知的なものと、N-backみたいな知的なものと両方。

3.メトフォルミンインボカーナバイエッタ系は増量。主食がケトン食気味なことに対してはゼニカル増量。

それでも、1Kgはオーバーする。これは、カーボにぶら下がった水分で、一日絶食すればもどる。

 

この「断食実行日」をあらかじめ決めておく。

すると、「あ’’~、ここで食すぎないようにしないと~」と歯止めがきく..かな。

 

<結論>

  • 食べ過ぎたら「休胃日

タグ

スイーツと口渇感

普段、ローカーボな生活をしてると、炭水化物が無性にほしくなる。で、パンやらチョコやらを思いっきり食べると。。。

翌日、とてものどが渇く!いくら飲んでも渇くのが不思議だった。「辛い物を食べてないのになぜ?」「隠し味に、塩入れてのか?」と思っていた。

調べてみると、ボディービルダー屋さんでは有名な現象のようである。

体重1Kgあたり15gのグリコーゲンを蓄えることが出来る。ので、体重55Kgの場合には825gのグリコーゲンを補充できる。グリコーゲン1gを補充するのに水3gが必要なので2.4リットルほど飲水する必要がある。

(小生の体重にあわせて改変)

ボディービルダーはこれを利用して、カーボロード+水制限をするらしい。すると、皮下の水分が吸収され、いっそうムキムキにみえるとのことだ。

最近ではカーボ食したくなっても、できるだけ低糖質なスイーツを選ぶようにしている。すると、確かに翌日ものどが渇かずに楽だ。

<結論>

・お祭り日も、ローカーボ!

 

参考文献:Exercise Physiology: Energy, Nutrition, and Human Performance』 Lippincott Williams & Wilkins(2001)

タグ

2013年5月19日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:カロリス

一日1食か、一日3食か

今月の誌上ディベート1)は「一日1食か、一日3食か」であった。が、対決に切れ味がないので、僕自身の感想を述べたい。

栄養士は「一日3食とって、朝抜くな!」という。必ず、言う。「朝抜いて血糖不足は脳によくない」とか「3食少しづつとるほうが、結果として痩せる」とのたまう。

一日3食でカロリス実践するのは、意思が強くないと難しい。

本当に実践するならば、一日1食のほうが遙かに楽だ。

やればわかる。どちらの方がketogenicかも、採血すれば明らかだ。

ただし!坪田先生が指摘するように「一日一食で新しいタイプの栄養失調」にならないように注意しましょう。

<結論>

  1. 「一日1食で、毎日プチ断食」の方が楽。
  2. 血中データをとって、Anorexia Nervosa領域に(心身ともに)踏み込まないようにすべし。

1)『アンチエイジング医学―日本抗加齢医学会雑誌 (Vol.8 No.5(2012.10)』 メディカルレュー社(2012) p.79-88

タグ

「カロリスは寿命を延長しない?!」の原著を読みました

なぜ、ウィスコンシン大「カロリスに延命効果あり」vs NIA「ロリスに延命効果なし」と異なる結論になるのか?

NIA論文の考察から抄訳すると、

    ウィスコンシン大論文 NIA論文 NIA論文のコメント
食餌 カロリー制限 対照猿は食べ放題 対照猿もカロリー制限(僅か) ウィスコンシン大の雄猿は12%、雌猿は18%NIA猿より重い。つまり、NIA猿は、(ダイエットできており)適正体重である。
  食餌全般 精製食+ビタミン、ミネラル 自然食  自然食にはフィトケミカル、微量元素が含まれている可能性がある。
  炭水化物 コーンスターチ、蔗糖 挽いた小麦、挽いたとうもろこし 蔗糖が多いと糖尿病になりやすい。
  蛋白質 ラクトアルブミン(牛乳の乳清成分) 小麦、とうもろこし、大豆、魚、alfalfa meat  
  脂肪分 コーン油由来 魚油 魚油にはオメガ3系脂肪酸が含まれている。
  サプリの付与条件 CR猿のみに与え、対照猿には与えず 対照猿とCR猿両者に同じサプリメントを付与。 必要量の40%を与えて、CR猿が栄養不足にならないようにした結果、対照猿は「super-supplemneted」な状態だ。
遺伝子多様性 実験猿の出身地 インド出身の猿のみ 中国とインド出身の混成 カロリスの延命効果は単純ではなく、「長寿な素質」のほうが大事なのかもしれない。

 

⇒ウィスコンシン大:条件を極端にし、カロリスの効果を強調。

⇒NIA:現実の条件に近づけたため、カロリスの効果がみえにくい。

 

新聞記者は、記事をセンセーショナルに書いているだけで、ちゃんと原著を読んでいないのだろう。

「前提のコントロール群が違うんだから、異なる解釈が必要」

前回のべた「むしろカロリスには効果があるという傍証」で概ね正しいと、僕は思う。

 

<結論>

『10%カロリス+バランス食+サプリ』で十分効果がある。30%もカロリー制限する必要はない(のかもしれない)

タグ

2012年10月7日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:カロリス

抗加齢医学の実際2012をきいてきました(1)

2012/9/16(日)と9/17(月)、東京スカイツリーで開催された「抗加齢医学の実際2012」をきいてきました。

特に面白かったのが初日の企画物。

「長寿遺伝子を巡るバトル」と称して

  • サーチュイン派:坪田 一男先生
  • インスリン/IGF派:南野 徹 先生
  • mTOR派:脇野 修 先生

の各先生が持論を展開された。

極限まで単純化すると、

  サーチュイン系長寿遺伝子 インスリン系長寿遺伝子 mTOR系長寿遺伝子
活性化する方法 カロリー制限 糖質制限 たんぱく質制限
関連薬 レスベラトロール 糖尿病薬 ラパマイシン
アカデミック認知度 ±
TheCRWay関連部位 sir2_sirt1などの長寿遺伝子 血糖とインシュリンのペア 成長促進因子を抑制する

 

座長の伊藤裕先生によると、

・サーチュイン派は、ノーベル賞がらみの思惑もあって、インスリン派、mTOR派から攻撃をうけている。

・サーチュイン派は「哺乳類の寿命を延ばしたというエビデンスがない」点で、正統派からのけ者扱いだったが、『Sirt6が雄マウスの寿命を延ばした』という実験結果がでて、一矢報いた。

僕の個人的印象

・インスリン系とmTOR系→正統的&詳細なアプローチ

・サーチュイン系→Sirt1~7と種類が多くてフォーカスしきれていない。やや雑駁。

<結論>

すべての長寿遺伝子が活性化させるなら、「カロリー制限&糖質制限&蛋白制限」

学派論争よりも、実践!

タグ

2012年9月17日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:カロリス 学会

カロリスは寿命を延長しない?!

各紙で報道されたのでご存知の方もいるだろう。

ウィスコンシン大「カロリスに延命効果あり1)」vs NIA「カロリスに延命効果なし2)

カロリスコミュニティでも早速取り上げているので、掲載する。

NIAの実験では、対照猿も食餌を制限されている。つまり、カロリス実践猿なのだ。カロリス猿同士で比較すれば、ウィスコンシン大ほど、差が出ないのは当然である。

訳注:ウィスコンシン大学の実験では、対照猿は自由に食べたい放題。

NIAの実験では、「砂糖が少ないヘルシーな食餌を与えた」ということなので、「純粋なカロリスの影響以外が反映されている」等、指摘している。

11%のカロリスでも効果があると、沖縄人を対象にした論文3)では記されており、NIAの結果は、むしろカロリスには効果があるという傍証ともいえる。

う~む。

原著2)よんで、また、アップします。

 

1)Colman Ricki J, Anderson Rozalyn M, Johnson Sterling C, Kastman Erik K, Kosmatka Kristopher J, Beasley T Mark, Allison David B, Cruzen Christina, Simmons Heather A, Kemnitz Joseph W, Weindruch Richard. Caloric restriction delays disease onset and mortality in rhesus monkeys. Science. 2009 Jul;325(5937):201-204. Available from: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19590001

2)Mattison Julie A, Roth George S, Beasley T Mark, Tilmont Edward M, Handy April M, Herbert Richard L, Longo Dan L, Allison David B, Young Jennifer E, Bryant Mark, Barnard Dennis, Ward Walter F, Qi Wenbo, Ingram Donald K, de Cabo Rafael. Impact of caloric restriction on health and survival in rhesus monkeys from the NIA study. Nature. 2012 Aug. Available from: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22932268

3)Willcox Bradley J, Willcox D Craig, Todoriki Hidemi, Fujiyoshi Akira, Yano Katsuhiko, He Qimei, Curb J David, Suzuki Makoto. Caloric restriction, the traditional Okinawan diet, and healthy aging: the diet of the world’s longest-lived people and its potential impact on morbidity and life span. Ann  N  Y  Acad  Sci. 2007 Oct;1114:434-455. Available from: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17986602

タグ

2012年9月1日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:カロリス

このページの先頭へ